浪速高校出身の有名人、笑福亭鶴瓶さん。その魅力とは?
大阪市住吉区に浪速高校という男女共学の私立高校があります。大正12年(1923年)に設立され、もうすぐ創立100年を迎える歴史のある高校です。約100年の歴史の中で、多くの才能ある人材がここを巣立っていきました。
浪速高校の卒業生の中には、落語家・タレント・俳優・司会者などの幅広いジャンルでマルチに活躍する笑福亭鶴瓶さんがいます。笑福亭鶴瓶さんは芸能界では”大御所”と呼ばれるとても偉い人なのですが、偉そうに感じない腰の低さゆえか、後輩タレントからも「親しみやすい」と愛されておりよくテレビでイジられています。
今回は、浪速高校出身の有名人たちを紹介するとともに、出身有名人の筆頭である笑福亭鶴瓶さんについて詳しく掘り下げてみたいと思います。
浪速高校ってどんな学校?
まず初めに、浪速高校について簡単にまとめます。
浪速高校は、大阪府住吉区にある私立高校です。正式名称は学校法人浪速学院 浪速高等学校です。私立の中高一貫校であり、浪速中学を卒業しそのまま浪速高校に入学する生徒も多いです。神社神道を教育の根幹に置く学校であり、神社神道の精神を背景とした教育を行っています。歳旦祭や合祀祭の際には、浪速学院内の神社に参詣し、神前奉告や健康祈願などをします。神道教育を通して、集団生活の中での協調性を学び、社会の中で生きる力を育みます。校訓は「浄(きよき)・明(あかき)・正(ただしき)・直(なおき)」です。大正12年(1923年)に設立され、約100年の歴史を誇ります。当初は男子校でしたが、2005年から浪速高校が男女共学になり、2007年から浪速中学も男女共学に変わりました。
勉強に大変力を入れている学校で、生徒一人ひとりの目標に合わせたカリキュラムが受けられるようになっています。2年次からは理数・文科などの幾つかのコースに分かれて学ぶことができ、自分の進路に合わせたコースを選択できます。卒業後は、大学に進学する学生が多いようで、毎年何人もの学生が難関国公立大学や難関私立大学に合格しています。
また、勉強だけでなく部活動も盛んで、全国レベルの強豪校となっている種目もあります。例えば、ダンス部は『春の日本高校ダンス部選手権』において2018年優秀賞、『冬の日本高校ダンス部選手権』において2017年優秀賞をとる程の強豪です。「ダンス部に入りたくて浪速高校を志望した」という学生も多いようです。他にも、弓道部は2018年に男女ともにインターハイ(男子団体・女子団体)に出場する程の活躍をみせています。
浪速高校は、勉学はもちろんのこと、クラブ活動での錬磨、奉仕活動も幅のある人格形成のために重要であると考え、文武両道を目指しています。勉強も部活も全力で頑張りたい人に相応しい高校です。
浪速高校出身の有名人って誰?
浪速高校は、約100年という長い歴史の中で、多くの才能ある人材を輩出してきました。浪速高校の卒業生の中には、芸能界やプロスポーツの世界で活躍する有名人もいます。そんな浪速高校出身の有名人をまとめました。
笑福亭鶴瓶
浪速高校出身者の中で最も有名な人物といえば、笑福亭鶴瓶さんでしょう。笑福亭鶴瓶さんと言えば、誰もが知る人気タレントです。テレビ6本、ラジオ2本、合計8本のレギュラー番組を持っています。2007年には紅白歌合戦の白組の司会を務めました。また、タレント活動以外にも、本業の落語家や俳優としての顔も持っています。また、テレビに出る一方で本業の落語家としても精力的に活動しています。定期的に落語の舞台を公演しており、現在は上方落語協会相談役という役職を担っています。俳優としても、日本アカデミー賞優秀助演男優賞など、主演助演ともに数々の賞を受賞しています。そんな笑福亭鶴瓶さんについては後ほど詳しく取り上げたいと思います。
赤井英和
スポーツ選手としても、芸能人としても、その才能を開花させた赤井英和さん。浪速高校時代にボクシング部に所属し、ボクシングの才能に目覚めました。浪速高校3年生のときにボクシングでインターハイを制し、ボクシングの成績で近畿大学に進学しました。大学卒業後にプロボクサーとなり、ボクサー時代は「浪速のロッキー」という異名で大活躍しました。ボクサー引退後に芸能界入りし、俳優やタレントとして大ブレイクしました。『高校教師』『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』『セカンド・チャンス』などの大ヒットドラマに出演し、関西弁の力強い熱血キャラを演じ人気を博しました。日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、その高い演技力が評価されている。現在は、大阪ではバラエティ、東京では俳優としての活動が主となっています。
林家ペー
タレント、漫談家、写真家という3つのジャンルで活躍する林家ペーさん。漫談家として落語協会に所属しています。浪速高校卒業後、初代林家三平に入門し、漫談家という道に進みました。1972年に公私共にパートナーとなる林家パー子と結婚。林家パー子と結婚してからは夫婦ペアの仕事が多く、2人で「ヤーだー」「ハッハー」などの声を上げながら有名人の写真をとりまくっている様子がお茶の間で人気となります。写真以外にも記憶力という特技があり「数多くの有名人の生年月日を完璧に記憶している」ということでも有名です。ピンクをこよなく愛しており、テレビに出るときはほぼ100%ピンク色の格好をしています。
浪速高校出身で最も有名な大御所芸人・笑福亭鶴瓶の生い立ち
浪速高校出身で最も有名な大御所芸人の笑福亭鶴瓶さんについて詳しく取り上げたいと思います。笑福亭鶴瓶さんの活躍ぶりに関しては周知の事実かと思いますので、ここでは「鶴瓶さんの生い立ち」にスポットを当ててみたいと思います。
笑福亭鶴瓶さんは大阪市平野区に5人兄弟の末っ子として生まれました。本名は駿河学(するがまなぶ)さんと言います。3人の兄と1人の姉がおり、一番下が鶴瓶さんです。一番上の兄とは12歳も離れているそうです。鶴瓶さんの実家は、5人兄弟と両親と祖母が同居しており、8人家族でした。昔ながらの長屋で家族8人で賑やかに育った家庭環境が、鶴瓶さんの現在のキャラクターに少なからず影響しているのではないかと思います。鶴瓶さんのお父さんは自営業で梱包資材を扱うお店を経営していました。絵が趣味で、お店の傍ら絵を描いていたそうです。お父さんは、鶴瓶さんが落語家という道に進むことを当初は反対していたそうです。やはり自分が商売に精を出し、好きな絵はあくまでも趣味としていたので、芸能の道でご飯を食べていくことは難しいと思ったではないかと思います。
そんな賑やかな大家族で育った鶴瓶さんは、幼少期からやんちゃ坊主だったようで、面白い逸話が幾つも残っています。例えば、小学校5年生の頃に、近所のおじさんに競馬場に行かないかと誘われ、親に内緒で学校をサボりました。学校をサボって近所のおじさんと競馬場へ行ったところ、なんと40万円もの万馬券を当てました。おじさんはとても驚いて、40万円をそのまま鶴瓶さんにあげたそうです。鶴瓶さんは40万円を当てたことを親に隠していましたが、夜中にこっそり札束を数えているところを母親に見つかりバレました。結局、その40万円は母親が鶴瓶さんに断りなく実家の建てまし資金に使ってしまい、鶴瓶さんはとてもがっかりしたそうです。(後にこのエピソードを『徹子の部屋』で披露し、母親から怒られたそうです。)芸能界で成功するには「才能」だけでなくときに「運」も大切だと言いますが、このエピソードをみても鶴瓶さんが強運の持ち主であることがわかります。芸能界で成功する「運」を幼少期から持っていたと言っても過言ではないでしょう。
鶴瓶さんは、浪速高校在学時から既に「落語家になりたい」と志し、浪速高校に「落語研究会」を作りました。一方で喧嘩も強かったため、「落語研究会」だけでなく「ボクシング部」にも所属していました。しかし、父親から落語家の道は反対されていたため、まずは大学に進学します。幾つかの大学から合格通知をもらいましたが、鶴瓶さんが選んだ大学は、京都産業大学でした。京都産業大学を選んだ理由は、受験のときに出会った女性に一目惚れし、この大学に入れば再開できるのではないかと思ったからです。この一目惚れした女性とは、鶴瓶さんの思惑通り大学で再開し、なんと後に結婚します(鶴瓶さんの奥さんの玲子夫人です)。生涯のパートナーと受験で出会うなんて、なんとも素敵なエピソードですね。
この受験に関しては他にも面白いエピソードが残っており、学歴が高い人にコンプレックスのあった鶴瓶さんは、受験していない京大や阪大の合格発表に潜り込み、さも受かったような演技をして周りの学生から胴上げされました。その合格発表の様子がテレビで放送されてしまい、合格したと勘違いした親戚から祝電が届き、両親に恥をかかせてしまったそうです。取材を受けた合格者は他にも沢山いたのに、よりによって自分がテレビに映るなんてと思ったかもしれませんが、やはり当時からテレビ向きの素質があったのかもしれません。
大学入学後すぐに落語研究会に入ります。再開した玲子夫人を落語研究会に勧誘し、落語研究会で出会った清水国明、原田伸郎、玲子とともに、「あのねのね」というグループを結成します。「あのねのね」はデビュ前は鶴瓶さんと玲子夫人を含めた4~6人編成だったのです。「あのねのね」はその後、清水と原田の2人組としてメジャーデビューし、国民的スターとなり大活躍します。一方、鶴瓶さんはやはり落語家の夢を捨てきれず、大学を中退し、本格的に落語家の道に進もうと決意します。6代目笑福亭松鶴さんに弟子入りし、松鶴さんから「笑福亭鶴瓶」の名をもらいます。ここに、落語家「笑福亭鶴瓶」が誕生したのです。
なぜ笑福亭鶴瓶さんは大御所なのにイジりやすいのか?
笑福亭鶴瓶さんと言うと世間はどのようなイメージを持っているでしょうか?私は『世界仰天ニュース』で同じMCの中居正広さんと仲良く掛け合いをしている様子から、「大御所なのにいじられやすいキャラクター」というイメージがあります。中居正広さんとは芸能界の先輩後輩というよりも友達同士という距離感にみえ、お互いにギスギスした感じが全くなく、対等な立場でフランクに仲良く話している姿がとても微笑ましく感じます。たまに中居さんが鶴瓶さんに「おじいちゃんイジり」をしているときがあるのですが、お互いに気を許し合っていているからこそできる掛け合いだと思います。鶴瓶さんは中居さんと休日に遊ぶほど仲良しです。一度、中居さんが友人と飲んでいるときに鶴瓶さんを呼び、鶴瓶さんと中居さんと中居さんの友人たち(芸能人ではない)という謎のメンバーで飲んだこともあるそうです。中居さん以外にも『キラキラアフロ』で共演していた松嶋尚美さんとも友達のような掛け合いをしていました。芸歴や年齢や性別を問わず、どんな人ともフランクに楽しく会話ができるところが、鶴瓶さんが老若男女問わず愛される理由だと思います。
そんな鶴瓶さんが「大御所なのにイジられる」理由は、「大御所なのに大御所ぶっていないから」だと思います。それが、鶴瓶さんの魅力でもあります。こういう大御所なのに偉そうじゃないというイメージのタレントさんは、芸能界だとタモリさんか笑福亭鶴瓶さんしかいないと思います。そして、大御所なのにイジられるというイメージのタレントさんは、笑福亭鶴瓶さんしかいないと思います。生まれながらのあのニコニコと笑っているような穏やかな顔立ちもあって、「偉そう」という印象を他人に与えない天性の才能がある方です。顔立ちのせいだけでじゃなく、あの物腰の柔らかい話し方も大御所なのに偉そうに感じない理由ではないでしょうか。他人に威圧感を与えないように心がけているように思います。
鶴瓶さんは、ときに大御所とは思えないような身体を張った仕事をします。例えば『27時間テレビ』の司会を務めたときは、ふんどし一丁の鶴瓶さんが全身を金色に塗った姿でエンディングのスピーチを行いました。とても大御所タレントとは思えない程の身体の張り具合でしたが、過去の『27時間テレビ』で酔っ払って局部を出すという放送事故を起こしたので、その借りを返したかったのかもしれません。その酔っぱらい事件に関しても、『27時間テレビ』の番組の企画で地元民との宴会に参加したところ、その愛されるキャラクターで番組序盤からすっかり地元民と打ち解けて意気投合してしまい、酩酊状態で眠っていたところを無理やり起こして深夜の生中継を迎えてしまったのが原因ですので、鶴瓶さん一人が悪いわけではありません。
1972年のデビュー以来、ずっと芸能界の第一線を走り続けている笑福亭鶴瓶さん。落語家として磨いた話術で巧みに人々の感情を操ります。鶴瓶さんの手にかかれば、客を笑わせるのも泣かせるのも簡単です。その類まれな話術の才能は俳優業にも活かされ、俳優としても高い評価を受けています。「落語家なのにアフロヘアー」「大御所なのに放送事故」などの数々の武勇伝を残し、ときに「汚れ仕事」も喜々とこなし、人々をあっと驚かせる笑福亭鶴瓶さんは、今後も老若男女に愛される国民的芸人であり続けるでしょう。
笑福亭鶴瓶さんに学ぶ「愛され術」
最後に、笑福亭鶴瓶さんの魅力を掘り下げていくことで、「人から愛されるコツ」を学びましょう。芸能界のトップに君臨し続ける超大御所でありながら、誰とでも分け隔てなく仲良くできる鶴瓶さん。鶴瓶さんの良いところを学んで参考にすれば、人間関係がもっと円滑になるかもしれません。
聞き上手
鶴瓶さんは話し上手なだけでなく、聞き上手でもあります。テレビやラジオは沈黙がNGとされおり、5秒以上沈黙になると放送事故と言われています。そのため、話し上手でない相手と話すとき、ついつい沈黙が怖くて相手を質問責めにしてしまったり、自分の話ばかりしてしまうMCも多いのです。しかし、鶴瓶さんはそういったガツガツ自分の話をしたり、相手を質問責めにするタイプではありません。鶴瓶さんがMCを務めている番組には、俳優やスポーツ選手のような話すことを本職としていないゲストもよく出演します。話すことに慣れていないゲスト相手にも、話を急かすことも遮ることも質問責めにすることもなく、相手のテンポに合わせて上手に話を聞いている印象です。そのため、どんな相手とも相性がいいと感じます。
人から話を引き出すのが上手い
単に「ゲストのつまらない話にも笑顔で耳を傾ける」というのならば誰でもできます。そういう意味での聞き上手なMCは、鶴瓶さん以外にも沢山いると思います。鶴瓶さんの場合、話し下手なゲストからも「面白い話を引き出す」技術が素晴らしいのです。『A-Studio』という鶴瓶さんが長くMCを務めているトーク番組がありますが、ゲストが鶴瓶さんのトーク術に引き込まれ、本来話すつもりじゃなかったエピソードまで話してしまうというシーンをよくみます。この「話を引き出す上手さ」は、アナウンサーや記者のような話を聞くことを生業としている職種の方は見習った方がいいでしょう。
自分の目で確かめる
鶴瓶さんがMCを務める『A-Studio』というトーク番組は、2009年から10年続くTBSの人気番組です。その人気の理由の1つが「鶴瓶さんの取材力」にあります。トーク番組といえば、事前にスタッフがゲストにアンケートをとり、そのアンケート内容に基づいて進行するのが主流です。しかし、『A-Studio』では事前アンケートは一切行いません。これは鶴瓶さんがトーク番組の事前アンケートの多さに疑問を感じ、「ゲストには手ぶらで来てもらおう」と言い出したことが理由です。事前アンケートを行わない代わりに、鶴瓶さん自身がゲストの身近な人に事前に会って取材を行います。番組開始から10年間、どんなに忙しいときでも鶴瓶さん自ら取材に行きます。スタッフから聞いた話ではなく、自分の目で見たこと自分の耳で聞いたことを元にトーク内容を構成し、収録に臨むのです。『A-Studio』の放送作家の鈴木おさむさんは、「汗をかいている人が明確であること」が、この番組の成功理由だと述べています。大御所でありながら、鶴瓶さん自らがゲストゆかりの地を訪れ、ゲストの家族や友人にインタビューをし、ゲストのことを自分の目で理解していきます。この取材方法が、人の話しを聞くのが上手な所以だと思います。
いかがでしたでしょうか?人から愛されるためには、相手をよく知ろうとする努力が必要なのかもしれません。今はネット社会で、直接人と対峙しなくても相手のことを理解できます。しかし、相手の本質を理解し、自分も相手を好きになり、相手からも好きになってもらうには、やはり相手と直接対峙して、話を聞くことが「愛される第一歩」であると思います。
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