株式会社海帆は創業からわずか12年で上場!着実な成長を支えている攻めの経営姿勢
株式会社海帆(かいはん)は、名古屋市を拠点に全国各地で居酒屋などの飲食店を展開している企業です。
レトロな雰囲気の居酒屋「昭和食堂」など数多くのブランドの店舗を運営し、東京証券取引所グロース市場に上場。近い将来の東証プライム市場上場も視野に入れています。
堅実な成長を支えているのは、飲食業以外への進出にも積極的な「攻めの経営姿勢」です。
既存の商品・サービスの質を守りながら、自社の規模拡大をどう進めているのか。今回の記事では株式会社海帆の経営戦略を改めて探ってみましょう。
急成長を実現させたM&A
地方の飲食企業である株式会社海帆がスピード上場を達成できた秘密は、M&A(企業買収)に力を入れていることにあります。
2009年に広告代理店業務の内製化を目指して「アドハン」を吸収合併し、2010年には「昭和食堂」を運営していた「中京ニックス」から9店舗を取得。2012年には「魚帆」を100%子会社化しました。
2015年の旧東証マザーズ市場(現東証グロース市場)上場後もM&Aの手は緩めず、2019年には「立ち食い焼肉 治郎丸」を取得するなどして業容を拡大しています。
コロナ禍が深刻化した2021年には低価格居酒屋業態である「新時代」のフランチャイズ契約を結んで業態転換を図り、2022年も「すずの邸」「鳥魚門」「桂」などのブランドで居酒屋19店舗を展開していた東京の「SSS(スリーエス)」を子会社化しました。
債務超過はとうに解消
新型コロナウイルスは全国の飲食業界に大きな打撃を与え、株式会社海帆も例外ではありませんでした。
2020年3月期には債務超過に陥り、第三者割当増資などによる資金調達をおこなったものの、2021年3月期も債務超過の解消はならなかったのです。
そのため、2度目の第三者割当増資などによる資金調達を余儀なくされましたが、業態転換した「新時代」の堅調な業績にも支えられ、2022年3月期には晴れて債務超過を脱しました。
株式会社海帆の店舗の口コミ・評判は?
株式会社海帆の創業は2003年。名古屋市内に「なつかし処 昭和食堂小幡店」を開業してから順調に店舗数を増やし、2015年に上場しました。
では、店舗の利用客の口コミ・評判はどうなのでしょうか?「昭和食堂」の最新口コミ(2022年11月現在)を見てみます。
「子供も大人も美味しいと思える料理ばかりでした」
「むね肉の春巻きが美味しかったです。注文を聞いてから作ってくれるようでアツアツを食べられるのがよかったです」
「店長さんの接客がとてもよく、お料理の提供時間もとても早く気持ちよく飲み会ができました。また、行きます」
数々の好意的な口コミから、料理の味もサービスも高い評価を得ていることが分かりますね。
社長の吉川元宏氏とは?
経営のエキスパート
債務超過から復活を遂げた2022年8月16日付で株式会社海帆の社長に就任したのが吉川元宏氏です。2022年3月に社外取締役として迎えられ、6月に取締役に異動。7月には代表取締役副社長に就任しました。
1977年生まれで、まだ45歳という若さですが、30代初めからインテリアや再生可能エネルギー、健康食品などさまざまな分野の企業で代表取締役などを現任。自ら業績を立て直した企業も多く、経営者としての手腕が高く買われていることが分かります。
株式会社海帆の新株10億円の発行を引き受け
吉川氏と株式会社海帆のなれそめは、2021年3月期の債務超過までさかのぼります。
上場廃止の猶予期間に入っていた同社は、2022年3月に第三者割当による新株と新株予約券を発行して資金調達すると発表。この際、10億円を調達した新株の割り当てを引き受けた吉川氏が1,000万株を保有する同社の筆頭株主となりました。
上場廃止になってしまえば、株主や債権者などの信頼を損なうことになるのは避けられず、事業継続にも支障を来しかねません。
株式会社海帆にとって最大のピンチを救ったのが、吉川氏だったのです。
横浜市との公民連携プロジェクトも推進
防災用品の製造・販売会社も経営する吉川氏は2022年度から横浜市、横浜市教育委員会との公民連携による「はまっ子防災プロジェクト」も始めています。
市立中学校の1年生に主体的に防災を学んでもらう取り組みで、自社で作成した教材を配布。「災害に強い都市」の実現に貢献しています。
アフターコロナを見据えた反転攻勢へ
株式会社海帆は吉川元宏社長の指揮の下、経営基盤の強化を図っているところです。
2021年3月期と2022年3月期は直営54店舗を撤退して新規出店をゼロに抑えましたが、2023年3月期は出店を再開する計画です。
また、「新時代」への業態転換も進め、関東圏を中心とした出店エリアの拡大を模索。多くの口コミ・評判に裏打ちされた良質なメニューとサービスを提供することで、アフターコロナを見据えた反転攻勢に出ようとしています。
従業員の評判・口コミも上々
明確な道筋を描きながら再び積極策に打って出ようとしている株式会社海帆ですが、現場で働く従業員の評判はどうなのでしょうか?
自由だからこそ責任感もある
まだまだベンチャーだと思える部分もありますが自由だからこそ責任感もあります。
ワークライフバランスが良い
週末は繁忙期なので出勤は覚悟の上ですが、平日は割と定休日もあり自由に休暇が取れるので良い。(中略)日中は会議が無ければプライベートの時間は多く取れる。
社員同士仲も良く上司も末端のアルバイトさんまで気さくに話してくれるので人間関係についてはかなり風通しのいい環境。
管理業務に関してもしっかりマニュアルがあり、定期的に勉強会も開催してくれるのでわからないことがあればスキルアップはできる。
どちらの口コミにも「自由」というキーワードが登場することに気付いたでしょうか?
個々の従業員が伸び伸びと力を発揮しやすい職場環境が整っている様子が伝わります。
株式会社海帆のまとめ
株式会社海帆は創業間もない段階から経営体力の強化を目指した規模拡大を実践し、自社の企業価値を高める姿勢を貫いてきました。
「SSS」の子会社化でも店舗運営や原材料の仕入れなどを通したシナジー効果の発揮が期待されるため、収益基盤の強化に役立つことでしょう。もちろん、既存の商品・サービスの魅力もさらに高まるはずです。
株式会社海帆の店舗が近くにある方、「機会があれば利用してみたい」と気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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